あなた、そこにいてくれますか 696/AUG.20

STORY】


フランスの作家ギヨーム・ミュッソのベストセラー小説「時空を超えて」を韓国で実写映画化。医療ボランティアでカンボジアを訪れた医師スヒョンは、子どもの手術をしたお礼として、願いをかなえてくれるという10錠の薬をもらう。スヒョンの願いは、30年前に亡くなった恋人ヨナにもう一度会うこと。半信半疑で薬を飲んだスヒョンだったが、本当に1985年にタイムスリップし、過去の自分と出会う。ヨナの死を知った若きスヒョンはヨナを助けたいと願うが、ヨナとの未来を選べば、彼女の死から10年後に誕生するはずの娘が存在しないことになってしまう。過去と現在、2人のスヒョンは、葛藤の末にある決断を下す。「チェイサー」などの実力派俳優キム・ユンソクと、テレビドラマ「ミセン 未生」の若手俳優ピョン・ヨハンが、過去と現在の主人公スヒョンを2人1役で演じた。監督は「キッチン 3人のレシピ」のホン・ジヨン


監督 ホン・ジヨン

主演 キム・ユンスク、ピョン・ヨハン、チェ・ソジン、パク・ヘス キム・サンホ、アン・セハ

火曜日の昼下がりなると、どうしてか韓国ドラマや映画を観たくなるのはなぜなんでしょうね。

今回AmazonPrimeでチョイスしたのが、本作品。タイトルをみるとなんだか甘酸っぱいような恋愛物語なのかと思いきや、骨太のストーリーで、感動と共感の大波、小波が打ち寄せてくるものでした。🌊

では思いのままだらだらと書いていきます😃

盲目の爺さんがくれた魔法の薬】

映画を観るさいの文法がいくつかある、それは、【もの。物】である。者ではない。時にその物が主人公級の位置付けと変換されることもある。映画の妙なんだろう。魔法の宝箱のように。私なりに物を解釈すると、それはとても相対的なもので、どこか神秘的なものだと捉えている。(あってるかどうかは分からないが)

そういった意味で確認すると、盲目の爺さんがくれた、瓶に入った黄色い薬?のような『物』がそれであった。長年爺さんの首にかけられ、瓶はすこし小汚い感じで9つの固形物が怪しそうに入っていた。もし自分なら貰うだけ貰って、鞄の奥に入れて、記憶とともに忘れてしまうだろうに。

そして、その爺さんは、薬をわたす前に、処方箋の但書のように、大切なことを一つ確認した。

ぜったいに叶えたい願い事はありますか? もう一度だけ会いたい人がいます。

この壮大な物語の入口としては、これ以上ないエントランスだと思う。 

 30年前の自分と30年後の自分。この時間のトリックに観ていて多少追いつけない苛立ちもあったが、この薬が時空を超えたタイムパラドックスを、事実といったわりかし現実味のあるものに処方してくれた。寝れば即効性は抜群!

夢と冒険の国で再開】

自分の恋人と会うと、無条理にもその人は死んでしまう。しかし、これから逢わなければ、スヒョンは生き続けられる。そして、親友のテホにもこの事を秘密にするため、会ってはいけない。こんな究極のジレンマ、守れるわけもなく。

自分の最も大切な人であったこの2人。彼の人生そのもののだった。会うと死んでしまうことなんか誰が信じよう。仮に私ならどんな手を使ってでも会いに行く。そして大きな声で神様ごめんなさい🙏と駄々をこねる。そしてスヒョンも駄々はこねてないが、同じ事をしてくれた。しかし、その代償はすぐにやってきた。息をつく暇さえないぐらいに。後ろから車が🚗突っ込んで帰らぬ人になってしまった。

病院に運ばれ緊急オペ。カルテには死亡時刻が記載。死因は脳血腫。今の時刻はまだ早い。2人のスヒョンに対する気持ちが初めてリンクし、スヒョンの心臓に息吹が宿った。

 若いスヒョンは後遺症を心配した。彼氏としては当たり前の質問だか、この状況では愚問だった。それを、30年のスヒョンが『生きているだけで満足だろ』と諭すように励ました。これこそ今流行りの『父性』なんだろう。

そして、30年後、2人は、あの時の風船に導かれるようにして、同じ停留所で降りた。

停留所の場所名は、夢と冒険の国というキャッチコピーだ。まさに、この2人の30年を例えるには、これ以上ないぴったりな言葉だ。最後のパズルがピッタリとはまるぐらいに。

そして、夢と冒険の国ならではの『物』が、出番を待ち構えたようにあらわれた。それは30年前プロポーズしたときの風船🎈だ。彼はピエロ🤡のように顔をだした。

 彼は、どれくらい離れ離れになっていた』と。

この瞬間、盲目の爺さんがくれた薬💊の魔法は終わった。